梨園と言われると、何のことなのか知らない人が多いでしょう。
「梨園」という文字を見ると、果物のナシ園かな?と思いますよね。しかし、果物の梨とは関係ありません。
梨園とは歌舞伎界の事を指します。なぜ、歌舞伎界が梨園と呼ばれるのは不思議ですよね。
本記事は、梨園の由来や歌舞伎界の格差などについて紹介します。
スポンサーリンク梨園とは何?
梨園とは、中国の宮廷音楽養成所のことを指します。なぜ、宮廷の音楽養成所が梨園という名前なのかは、養成所の周りに梨の木がたくさん生えていたからです。
梨の木が生えている場所で音楽を学んでいた子供たちを梨の弟子と表現し梨の園という言葉が生まれました。
時が経つにつれて梨の園から梨園と呼ばれるようになり、今では音楽・歌舞伎界の事を梨園と意味するようになりました。
梨園の由来
梨園の由来は、中国の唐の玄宗皇帝が、歌舞伎や音楽が好きなため梨園(宮廷音楽養成所)を作ったことがきっかけです。
設立当初は、「梨の園」と呼ばれていましたが、次第に「梨園」と呼ばれるようになりました。中国で梨園と認識されてから江戸時代にも歌舞伎や音楽が浸透しました。
日本に歌舞伎や音楽が浸透した当初は、歌舞伎や音楽は「梨園」と認識されていましたが、中国の皇帝は歌舞伎を特に好きだったため歌舞伎だけを梨園と呼ぶようになりました。
梨園は格差がすごい?
歌舞伎界は家柄や血縁、実績などが関係して歌舞伎役者同士の格差があります。
300人の歌舞伎役者が歌舞伎を支えており、彼らは30の家に分かれており家柄と役者の格付けが決まっています。
格付けの頂点・格上に立つ者が、主役を演じられます。なぜ、格上の者だけが主役を演じられるのか不思議ですね。
現在の格付けで上位に入っているのが、市川海老蔵が家長の「成田屋」であり、格付けの中で権威が強い家です。
市川海老蔵の家が、格付けの頂点かと思われるかもしれませんが、市川海老蔵は頂点ではありません。
現在も歌舞伎界の頂点に立っているのは、市川團十郎です。
市川團十郎は、歌舞伎界の頂点に立つ人なので、公演の座長が市川海老蔵でも市川團十郎が共演していたら、海老蔵が團十郎に頭を下げ相手を立てなければなりません。
自分より格上の相手との共演の場合は、座長関係なく頭を下げなければなりません。歌舞伎界の上下関係は、厳しいですね。
一般の会社は、実績により年齢関係なく役職(ランク)が決まりますが、歌舞伎界は生まれ時点で、格付けが決められていますからね。
なぜ、市川團十郎が頂点に立つのかは、実績の他に家柄が江戸時代から続く家だからです。
市川團十郎の系譜である成田屋は、江戸時代に客が喜ぶ芸を最初に始め多くの客を集めたのが、市川團十郎です。
今は、市川團十郎が不在なので、「歌舞伎界の頂点は市川海老蔵なのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
重鎮である吉右衛門らには、頭が上がりません。実際に歌舞伎役者で構成されている日本俳優協会の役員に海老蔵の名前がありません。なぜなら、海老蔵は團十郎の名前を襲名していないからです。
300人いる歌舞伎役者で、一般人が知っているのが海老蔵の他に片岡愛之助や中村獅童なそテレビにも出ている芸能人を思い浮かべますよね。
芸能界で有名な彼らの格付けはどうなのでしょうかね。海老蔵もテレビ出演しますが、同じ歌舞伎役者でありながら、海老蔵は彼らより格上です。
海老蔵が座頭を務める公演のチケットが発売初日で完売し、年収も1億4100万円と発表されています。
歌舞伎公演の1か月の給料は主役で500万前後~800万円程度と推測されており、給料も格によって決まります。
若手の中で人気の海老蔵と比べると、中村獅童や片岡愛之助は格下です。格下のため明治座では座長はできますが、歌舞伎座では目立つ役は回ってきません。
中村獅童も父親が歌舞伎役者を辞めたため、後ろ立てがなく海老蔵が座長を務める時にしか歌舞伎座に出られません。
世間では有名人でも歌舞伎界では格下ということから歌舞伎以外の道を進もうと思い片岡愛之助などテレビに出るようになったのかもしれませんね。
海老蔵の様に格上で人気のある役者は給料が高いですが、300人の歌舞伎役者の大半は給料が10万から30万以下で生活している人が多いです。
歌舞伎界は、周囲から見れば華やかな世界に見えますが、上では厳格な格付け制度の中で苦しんでいる人もいるということですね。
スポンサーリンクまとめ
歌舞伎界は、一般社会に比べると厳格な上下関係なのだと知りました。生まれた時点で家柄や親の格付けにより、子供の未来も変わるということですね。
一般社会では実力でランクが決まりますが、歌舞伎界では家柄・格付けで給料まで決まってしまいます。
さすが400年続く伝統芸能ですね。歴史ある伝統芸能ゆえに、歌舞伎界で成功している人とそうでない人との差が顕著に表れているのが分かります。
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